5.2. 計算#

ここでは、以下の例を用いて、Excelの計算機能を紹介します。

学籍番号

数学

英語

情報

s1001

87

92

85

s1002

78

85

90

s1003

95

88

92

5.2.1. 基本演算#

5.2.1.1. 演算子#

Excelでは、数値の計算を行うために、=で始まる数式を使用します。数式には、+(加算)、-(減算)、*(乗算)、/(除算)などの演算子を使用します。例えば、成績の合計を計算する場合、以下のように入力して、Enterキーを押すと、計算結果が表示されます。

= 87 + 92 + 85
計算

Fig. 5.8 基本的な計算#

5.2.1.2. 値の参照#

Excelでは、他のセルの値を参照して計算を行うことができます。例えば、数学の成績の合計を計算する場合、以下のように入力します。

= B3 + C3 + D3
値の参照

Fig. 5.9 値の参照#

以下では、例を使って、参照の書式を説明します。

  • A10:列A、行10のセル

  • B3:D3:行3、列BからDの範囲

  • A1:A10:列A、行1から10の範囲

  • B3:D10:行3〜10、列B〜Dの範囲

5.2.1.3. 初めての関数#

Excelには、さまざまな関数が用意されています。関数を使用することで、複雑な計算を簡単に行うことができます。例えば、合計を計算する場合、SUM関数を使用します。SUM関数は、指定した範囲内の数値を合計するための関数です。以下の数式は、B4からD4の範囲内の数値を合計します。

= SUM(B4:D4)
初めての関数

Fig. 5.10 初めての関数#

5.2.1.4. 小数点数#

AVERAGE関数を使って、s1001の数学、英語、情報の平均点を計算してみましょう。B2:D2の範囲を選択して、F2に以下の数式を入力します。

= AVERAGE(B2:D2)

平均値は整数部分で表示されます。小数点以下の値を表示するには、「数値」グループの「小数点以下の表示桁数を増やす」ボタンをクリックします。

小数点数

Fig. 5.11 小数点数#

5.2.1.5. 連続データの計算#

そして、マウスでセルの右下隅をドラッグすると、他の行にも同じ計算を適用できます。

連続データの計算

Fig. 5.12 連続データの計算#

5.2.2. 参照#

Excelでは計算を行うために、参照機能がよく使われます。参照とは、他のセルの値を使用して計算を行うことです。

Excelでは、相対参照絶対参照混合参照の3つの参照方法があります。これらの機能を使い分けることで、計算を効率的に行うことができます。

5.2.2.1. 相対参照#

Excelでは、デフォルトで相対参照が使用されます。相対参照は、数式をコピーしたときに、参照先のセルが自動的に変更されることを意味します。

例えば、上記の連続データの計算の例では、自動的に参照を更新することで、計算を行います。F2に入力した= AVERAGE(B2:D2)という数式を、3〜4行目にドラッグすると、F3には= AVERAGE(B3:D3)F4には= AVERAGE(B4:D4)という数式が自動的に適用されます。これは、相対参照といいます。

5.2.2.2. 絶対参照#

絶対参照は、数式をコピーしても参照先のセルが変更されないことを意味します。絶対参照を使用するには、セルの行番号と列番号の前に$を付けます。 例えば、$A$1は、列A、行1のセルを絶対参照します。数式をコピーしても、参照先は常に$A$1になります。

例えば、以下の例では、収入を計算するために、売上*単価を計算します。単価は、E1に入力されているとき、それを絶対参照するために、C2に以下の数式を入力します。

= B2 * $E$1

この数式をC3にコピーすると、C3には= B3 * $E$1という数式が自動的に適用されます。

絶対参照

Fig. 5.13 絶対参照の例#

5.2.2.3. 混合参照#

混合参照は、行番号または列番号のいずれか一方だけを固定することができる参照方法です。例えば、$A1は、列Aを絶対参照し、行番号は相対参照します。逆に、A$1は、行1を絶対参照し、列番号は相対参照します。

例えば、以下の例では、掛け算の九九を計算するために、$A2B$1を混合参照します。$A2は、列Aを絶対参照し、行番号は相対参照します。逆に、B$1は、行1を絶対参照し、列番号は相対参照します。

混合参照

Fig. 5.14 混合参照の例#

5.2.3. 関数#

5.2.3.1. 関数の構文#

より複雑な計算を行う場合、関数の構文を理解する必要があります。Excelの関数は、以下のような形式で記述します。

= 関数名(引数1, 引数2, ...)

5.2.3.2. ROUND関数#

例えば、ROUND関数は、数値を指定した桁数に四捨五入するための関数です。以下の構文を使用します。

= ROUND(数値, 桁数)
  • 関数名:ROUND

  • 引数1:四捨五入する数値

  • 引数2:四捨五入する桁数(整数)

3.14159を小数点以下2桁に四捨五入する場合、以下のように入力します。

= ROUND(3.14159, 2)

5.2.3.3. IF関数#

IF関数は、条件に基づいて異なる値を返すための関数です。以下の構文を使用します。

= IF(条件, 真の場合の値, 偽の場合の値)

例えば、成績が90点以上の場合は「合格」、それ以外の場合は「不合格」と表示する場合、以下のように入力します。

= IF(F2 >= 90, "合格", "不合格")

Note

Excelでは、SUM()AVERAGE()MAX()MIN()など様々な関数が用意されています。すべての関数を覚える必要はありませんが、よく使う関数を覚えておくと便利です。また、どの関数を使えばよいか分からない場合は、GoogleやChatGPTに聞いてみましょう。

5.2.3.4. 関数ネスト#

関数を他の関数の引数として使用することを「関数ネスト」と呼びます。

例えば、次の数式では、セルB4からD4の平均値を計算し、その結果が90以上の場合は「合格」、それ以外の場合は「不合格」と表示します。

= IF(AVERAGE(B4:D4) >= 90, "合格", "不合格")

5.2.3.5. よく使う関数#

5.2.3.5.1. SUM関数#

指定した範囲内の数値を合計する。

= SUM(数値1, [数値2], ...)

5.2.3.6. AVERAGE関数#

引数の平均

= AVERAGE(数値1, [数値2], ...)

5.2.3.7. MEDIAN関数#

中央値

= MEDIAN(数値1, [数値2], ...)

5.2.3.8. MAX関数#

最大値

= MAX(数値1, [数値2], ...)

5.2.3.9. MIN関数#

最小値

= MIN(数値1, [数値2], ...)

5.2.3.10. IF関数#

条件に基づいて異なる値を返す。

= IF(論理式, 値が真の場合, 値が偽の場合)

次に例を示します。B2の値が60以上の場合は「合格」、それ以外の場合は「不合格」と表示します。

= IF(B2 >= 60, "合格", "不合格")

5.2.3.11. COUNT関数#

指定した範囲内の数値の個数をカウントする。

= COUNT(数値1, [数値2], ...)

5.2.3.12. COUNTIF関数#

指定した条件を満たすセルの個数をカウントする。

= COUNTIF(範囲, 条件)

次に例を示します。B2からB10の範囲で、60以上の値を持つセルの個数をカウントします。

= COUNTIF(B2:B10, ">=60")

次の例では、B2からB10の範囲で、「合格」と表示されているセルの個数をカウントします。

= COUNTIF(B2:B10, "合格")

5.2.3.13. CORREL関数#

2つの配列の相関係数を計算する。

= CORREL(配列1, 配列2)

次の例では、B2からB10の範囲とC2からC10の範囲の相関係数を計算します。

= CORREL(B2:B10, C2:C10)