49 ゲート
これまではコンピューターにおいて重要な記数法である2進数について学んだ.そして,0と1のビットを使って,数値や文字などのデータを表現する方法についても触れた.
ここでは,2進数の計算を行うための装置であるゲートについて学ぶ.
学習の目標は次の通りである:
- 真理値表,論理式,記号を使って基本的な論理ゲートを理解する
- AND,OR,NOT,XOR,NAND,NORゲートの動作を理解する
49.1 ブール演算
ビットは一般的に0または1と表現されるが,FalseまたはTrueという真理値としての表現もよく使われる.
このような真理値(0と1)を扱うための数学的な体系をブール代数(Boolean algebra)と呼ぶ.ブール代数は,イギリスの数学者ジョージ・ブール(George Boole)によって考案された.ブール演算は,AND,OR,NOT,XORなどの論理演算子を使って真偽値を操作する.
49.2 ゲート
コンピューターでは,ゲート(gate,論理ゲート,logic gate)と呼ばれる装置を使ってブール演算を実行する.ゲートは,1つまたは複数の入力信号を受け取り,それらの信号を処理して出力信号を生成する.
ここでは,以下の基本的な論理ゲートを紹介する.
- OR
- AND
- NOT
- XOR
- NAND
- NOR
これらのゲートの紹介には,論理式,真理値表,記号を使う.
- 論理式(Boolean expressions)は,数学記号を使って,数式で真理値の演算を表現する.
- 真理値表(truth table)は,ゲートのすべての入力組み合わせに対して,出力の真理値を示す表である.
- 記号(MIL symbols)は,論理ゲートを図で表現するための記号である.CircuitVerseという論理回路のシミュレータを使って,ゲートの動作を視覚的に確認することもできる.
49.2.1 ORゲート
A と B を真理値とするとき,A と B の論理和(logical disjunction)は,A \lor B と書く.
A と B の少なくとも一方が1のとき,A \lor B = 1 となる.
論理和の真理値表は以下の通りである.
| A | B | A \lor B |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 1 |
論理和の演算を行うORゲートは次の記号で表現される.
49.2.2 ANDゲート
A と B を真理値とするとき,A と B の論理積(logical conjunction)は,A \land B と書く.
A と B の両方が1のとき,A \land B = 1 となる.
論理積の真理値表は以下の通りである.
| A | B | A \land B |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 0 |
| 1 | 1 | 1 |
論理積の演算を行うANDゲートは次の記号で表現される.
49.2.3 NOTゲート
A を真理値とするとき,A の否定(logical negation)は,\lnot A と書く.
Aが1のとき,\lnot A = 0となり,Aが0のとき,\lnot A = 1となる.
否定の真理値表は以下の通りである.
| A | \lnot A |
|---|---|
| 0 | 1 |
| 1 | 0 |
否定の演算を行うNOTゲートは次の記号で表現される.
49.2.4 XORゲート
AとBを真理値とするとき,AとBの排他的論理和(exclusive or)は,A \oplus Bと書く.
AとBのうち一方だけが1のとき,A \oplus B = 1となる.
排他的論理和の真理値表は以下の通りである.
| A | B | A \oplus B |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 0 |
排他的論理和の演算を行うXORゲートは次の記号で表現される.
49.2.5 NANDゲート
AとBを真理値とするとき,AとBの否定論理積は,A \uparrow Bと書く.NANDはNot ANDの略で,ANDゲートの出力を否定したものである.
A \uparrow B = \lnot (A \land B)
否定論理積の真理値表は以下の通りである.
| A | B | A \uparrow B |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 1 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 0 |
否定論理積の演算を行うNANDゲートは次の記号で表現される.
49.2.6 NORゲート
AとBを真理値とするとき,AとBの否定論理和は,A \downarrow Bと書く.NORはNot ORの略で,ORゲートの出力を否定したものである.
A \downarrow B = \lnot (A \lor B)
否定論理和の真理値表は以下の通りである.
| A | B | A \downarrow B |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 1 |
| 0 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 0 |
| 1 | 1 | 0 |
否定論理和の演算を行うNORゲートは次の記号で表現される.
49.3 まとめ
- ANDゲートは,両方の入力が1のときに出力が1になる.
- ORゲートは,少なくとも一方の入力が1のときに出力が1になる.
- NOTゲートは,入力が1のときに出力が0になり,入力が0のときに出力が1になる.
- XORゲートは,入力のうち一方だけが1のときに出力が1になる.
- NANDゲートは,ANDゲートの出力を否定したもので,両方の入力が1のときに出力が0になる.
- NORゲートは,ORゲートの出力を否定したもので,両方の入力が0のときに出力が1になる.
| ゲート | 論理式 |
|---|---|
| AND | A \land B |
| OR | A \lor B |
| NOT | \lnot A |
| XOR | A \oplus B |
| NAND | A \uparrow B |
| NOR | A \downarrow B |
49.4 プログラミング言語での論理演算
C言語では,真理値は整数型で表現され,0は偽(False),1は真(True)として扱われる.
以下のC言語のコードは,2 > 1が真であり,1を出力する.2 < 1が偽であり,0を出力する.
#include <stdio.h>
int main() {
printf("%d\n", 2 > 1); // 1
printf("%d\n", 2 < 1); // 0
return 0;
}Pythonでは,TrueとFalseを使って真理値を表現する.
以下のPythonのコードは,2 > 1が真であり,Trueを出力する.2 < 1が偽であり,Falseを出力する.
print(2 > 1) # True
print(2 < 1) # FalseC言語では,論理和の演算は||演算子を使って表現される.例えば,A || Bは,AまたはBのいずれかが真である場合に真を返す.
#include <stdio.h>
int main() {
int A = 1; // 真
int B = 0; // 偽
printf("A OR B = %d\n", A || B); // 出力: 1
return 0;
}C言語では,論理積の演算は&&演算子を使って表現される.例えば,A && Bは,AとBの両方が真である場合に真を返す.
#include <stdio.h>
int main() {
int A = 1; // 真
int B = 0; // 偽
printf("A AND B = %d\n", A && B); // 出力: 0
return 0;
}C言語では,否定の演算は!演算子を使って表現される.例えば,!Aは,Aが真である場合に偽を返し,Aが偽である場合に真を返す.
#include <stdio.h>
int main() {
int A = 1; // 真
printf("NOT A = %d\n", !A); // 出力: 0
return 0;
}49.4.1 練習問題
ユーザーから2つの真理値(0または1)を入力として受け取り,AND,OR,NOT,XORの演算結果を表示するC言語のプログラムを作成せよ.
作成したプログラムを実行すると,次のような出力が得られる.Enter AとEnter Bの後に,0または1を入力することができる.
Please enter A and B, where A and B are either 0 or 1.
Enter A: __1__
Enter B: __0__
A = 1, B = 0
*** Logical Operations ***
A AND B = 0
A OR B = 1
NOT A = 0
A XOR B = 1
49.4.1.1 解答例
#include <stdio.h>
int main() {
int A, B;
printf("Please enter A and B, where A and B are either 0 or 1.\n");
printf("Enter A: ");
scanf("%d", &A);
printf("Enter B: ");
scanf("%d", &B);
printf("A = %d, B = %d\n", A, B);
printf("*** Logical Operations ***\n");
printf("A AND B = %d\n", A && B);
printf("A OR B = %d\n", A || B);
printf("NOT A = %d\n", !A);
printf("A XOR B = %d\n", A ^ B);
return 0;
}