47 ゲート
これまではコンピューターにおいて重要な記数法である2進数について学んだ。そして、0と1のビットを使って、数値や文字などのデータを表現する方法についても触れた。
ここでは、2進数の計算を行うための装置であるゲートについて学ぶ。
学習の目標は次の通りである:
- 真理値表,論理式、記号を使って基本的な論理ゲートを理解する
- AND,OR,NOT,XOR,NAND,NORゲートの動作を理解する
47.1 ブール演算
ビットは一般的に0または1と表現されるが,FalseまたはTrueという真理値としての表現もよく使われる.
このような真理値(0と1)を扱うための数学的な体系をブール代数(Boolean algebra)と呼ぶ.ブール代数は,イギリスの数学者ジョージ・ブール(George Boole)によって考案された.ブール演算は,AND,OR,NOT,XORなどの論理演算子を使って真偽値を操作する.
47.2 ゲート
コンピューターでは,ゲート(gate,論理ゲート,logic gate)と呼ばれる装置を使ってブール演算を実行する.ゲートは,一つまたは複数の入力信号を受け取り,それらの信号を処理して出力信号を生成する.
ここでは,以下の基本的な論理ゲートを紹介する.
- OR
- AND
- NOT
- XOR
- NAND
- NOR
これらのゲートをの紹介には,論理式,真理値表,記号を使う.
- 論理式(Boolean expressions)は,数学記号を使って,数式で真理値の演算を表現する.
- 真理値表(truth table)は,ゲートのすべての入力組み合わせに対して,出力の真理値を示す表である.
- 記号(MIL symbols)は,論理ゲートを図で表現するための記号である.CircuitVerseという論理回路のシミュレータを使って、ゲートの動作を視覚的に確認することもできる。
47.2.1 ORゲート
\(A\) と \(B\) を真理値とするとき,\(A\) と \(B\) の論理和(logical disjunction)は,\(A \lor B\) と書く.
\(A\) と \(B\) の少なくとも一方が\(1\)のとき,\(A \lor B = 1\) となる.
論理和の真理値表は以下の通りである.
| \(A\) | \(B\) | \(A \lor B\) |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 1 |
論理和の演算を行うORゲートは次の記号で表現される.
47.2.2 ANDゲート
\(A\) と \(B\) を真理値とするとき,\(A\) と \(B\) の論理積(logical conjunction)は,\(A \land B\) と書く.
\(A\) と \(B\) の両方が\(1\)のとき,\(A \land B = 1\) となる.
論理積の真理値表は以下の通りである.
| \(A\) | \(B\) | \(A \land B\) |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 0 |
| 1 | 1 | 1 |
論理積の演算を行うANDゲートは次の記号で表現される.
47.2.3 NOTゲート
\(A\) を真理値とするとき,\(A\) の否定(logical negation)は,\(\lnot A\) と書く.
\(A\)が\(1\)のとき,\(\lnot A = 0\)となり,\(A\)が\(0\)のとき,\(\lnot A = 1\)となる.
否定の真理値表は以下の通りである.
| \(A\) | \(\lnot p\) |
|---|---|
| 0 | 1 |
| 1 | 0 |
否定の演算を行うNOTゲートは次の記号で表現される.
47.2.4 XORゲート
\(A\)と\(B\)を真理値とするとき,\(A\)と\(B\)の排他的論理和(exclusive or)は,\(A \oplus B\)と書く.
\(A\)と\(B\)のうち一方だけが\(1\)のとき,\(A \oplus B = 1\)となる.
排他的論理和の真理値表は以下の通りである.
| A | B | A XOR B |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 0 |
排他的論理和の演算を行うXORゲートは次の記号で表現される.
47.2.5 NANDゲート
\(A\)と\(B\)を真理値とするとき、\(A\)と\(B\)の否定論理積は、\(A \uparrow B\)と書書く。NANDはNot ANDの略で、ANDゲートの出力を否定したものである。
\[ A \uparrow B = \lnot (A \land B) \]
否定論理積の真理値表は以下の通りである。
| \(A\) | \(B\) | \(A \uparrow B\) |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 1 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 0 |
否定論理積の演算を行うNANDゲートは次の記号で表現される。
47.2.6 NORゲート
\(A\)と\(B\)を真理値とするとき、\(A\)と\(B\)の否定論理和は、\(A \downarrow B\)と書く。NORはNot ORの略で、ORゲートの出力を否定したものである。
\[ A \downarrow B = \lnot (A \lor B) \]
否定論理和の真理値表は以下の通りである。
| \(A\) | \(B\) | \(A \downarrow B\) |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 1 |
| 0 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 0 |
| 1 | 1 | 0 |
否定論理和の演算を行うNORゲートは次の記号で表現される。
47.3 まとめ
- ANDゲートは、両方の入力が1のときに出力が1になる。
- ORゲートは、少なくとも一方の入力が1のときに出力が1になる。
- NOTゲートは、入力が1のときに出力が0になり、入力が0のときに出力が1になる。
- XORゲートは、入力のうち一方だけが1のときに出力が1になる。
- NANDゲートは、ANDゲートの出力を否定したもので、両方の入力が1のときに出力が0になる。
- NORゲートは、ORゲートの出力を否定したもので、両方の入力が0のときに出力が1になる。
| ゲート | 記号 |
|---|---|
| AND | \(A \land B\) |
| OR | \(A \lor B\) |
| NOT | \(\lnot A\) |
| XOR | \(A \oplus B\) |
| NAND | \(A \uparrow B\) |
| NOR | \(A \downarrow B\) |
47.4 プログラミング言語での論理演算
C言語では、真理値は整数型で表現され、0は偽(False)、1は真(True)として扱われる。
以下のC言語のコードは,2 > 1が真であり、1を出力する.2 < 1が偽であり、0を出力する.
#include <stdio.h>
int main() {
printf("%d\n", 2 > 1); // 1
printf("%d\n", 2 < 1); // 0
return 0;
}Pythonでは,TrueとFalseを使って真理値を表現する.
以下のPythonのコードは、2 > 1が真であり、Trueを出力する.2 < 1が偽であり、Falseを出力する.
print(2 > 1) # True
print(2 < 1) # FalseC言語では、論理和の演算は||演算子を使って表現される.例えば、A || Bは、\(A\)または\(B\)のいずれかが真である場合に真を返す.
#include <stdio.h>
int main() {
int A = 1; // 真
int B = 0; // 偽
printf("A OR B = %d\n", A || B); // 出力: 1
return 0;
}C言語では、論理積の演算は&&演算子を使って表現される.例えば、A && Bは、\(A\)と\(B\)の両方が真である場合に真を返す.
#include <stdio.h>
int main() {
int A = 1; // 真
int B = 0; // 偽
printf("A AND B = %d\n", A && B); // 出力: 0
return 0;
}C言語では、否定の演算は!演算子を使って表現される.例えば、!Aは、\(A\)が真である場合に偽を返し、\(A\)が偽である場合に真を返す.
#include <stdio.h>
int main() {
int A = 1; // 真
printf("NOT A = %d\n", !A); // 出力: 0
return 0;
}47.4.1 やってみよう
ユーザーから2つの真理値(0または1)を入力として受け取り、AND、OR、NOT、XORの演算結果を表示するC言語のプログラムを作成してみよう。
作成したプログラムを実行すると、次のような出力が得られる。Enter AとEnter Bの後に、0または1を入力することができる。
Please enter A and B, where A and B are either 0 or 1.
Enter A: __1__
Enter B: __0__
A = 1, B = 0
*** Logical Operations ***
A AND B = 0
A OR B = 1
NOT A = 0
A XOR B = 1
47.4.1.1 解答例
#include <stdio.h>
int main() {
int A, B;
printf("Please enter A and B, where A and B are either 0 or 1.\n");
printf("Enter A: ");
scanf("%d", &A);
printf("Enter B: ");
scanf("%d", &B);
printf("A = %d, B = %d\n", A, B);
printf("*** Logical Operations ***\n");
printf("A AND B = %d\n", A && B);
printf("A OR B = %d\n", A || B);
printf("NOT A = %d\n", !A);
printf("A XOR B = %d\n", A ^ B);
return 0;
}