2 集合
集合(Set)とは、「ものの集まり」のことである.集合は,普通 \(A\),\(B\),\(C\) などの大文字のアルファベットで表される.集合を構成している一つ一つのものを要素または元(element)という.
元を一つも持たない集合を空集合(empty set)といい,記号 \(\emptyset\) で表す.
無限の元を持つ集合は無限集合,有限の元を持つ集合は有限集合と呼ばれる.
議論するすべての元があるひとつの集合に属する場合,その集合を全体集合(universal set)という.
2.1 帰属関係
対象 \(x\) が集合 \(S\) の元であることを
\[ x \in S \]
と書き,「\(x\) が \(S\) に属する」,「\(x\) is an element of \(S\)」などと読む.\(x\) が \(S\) の元でないことを
\[ x \notin S \]
と書く.
2.2 記法
2.2.1 外延的記法
外延的記法(roster notation)では,集合のすべての要素を列挙する.例えば,\(10\) より小さい正の奇数全体の集合は \(\{1, 3, 5, 7, 9\}\),四季の集合は \(\{\text{春}, \text{夏}, \text{秋}, \text{冬}\}\) と表される.
集合が多くの要素を持つ場合は,省略記号(\(\ldots\))を使って表すことができる.例えば,\(1\) から \(100\) までの自然数全体の集合は \(\{1, 2, 3, \ldots, 100\}\),自然数全体の集合 \(\mathbb{N}\) は \(\{1, 2, 3, \ldots\}\) と表される.
2.2.2 内包的記法
内包的記法(set-builder notation)では,集合の要素が満たす条件を用いて集合を定義する.\(P(x)\) を条件とし,\(P(x)\) を満たす\(x\)全体の集合を \(\{x \mid P(x)\}\) と表す.
例えば,\([0, 1]\) の区間に含まれる実数全体の集合は \(\{x \mid 0 \leq x \leq 1\}\),\(5\) 以上 \(10\) 未満の整数全体の集合は \(\{x \in \mathbb{Z} \mid 5 \leq x < 10\}\) と表される.
2.3 特別な集合
- \(\mathbb{Z}\):整数全体の集合
- \(\mathbb{N}\):自然数全体の集合
- \(\mathbb{Q}\):有理数全体の集合
- \(\mathbb{R}\):実数全体の集合
- \(\mathbb{R}^+\):正の実数全体の集合
2.4 集合の包含関係
- 部分集合(Subset):集合 \(A\) のすべての元が集合 \(B\) の元であるとき,\(A \subseteq B\) と表す.\(A\)は\(B\)の部分集合であるという.
- 相等(Equality):集合 \(A\) と \(B\) が同じ元から構成されているとき,\(A = B\) と表す.すなわち,\(A \subseteq B\) かつ \(B \subseteq A\) が成り立つ.
- 真部分集合(Proper subset):\(A \subseteq B\) かつ \(A \neq B\) のとき,\(A \subset B\) と表す.
2.5 順序組
順序組(Tuple,タプル)は,複数の対象を順序を持って並べたものである.\(n\) 個の対象を並べた順序組を \(n\)-組(\(n\)-tuple)という.
\((a_1, a_2, \ldots, a_n)\),\((b_1, b_2, \ldots, b_n)\) を二つの \(n\) -組とするとき,
\[ (a_1, a_2, \ldots, a_n) = (b_1, b_2, \ldots, b_n) \]
であるためには,\(a_1 = b_1\),\(a_2 = b_2\),\(\ldots\),\(a_n = b_n\) でないといけない.例えば,\((1, 2) \neq (2, 1)\) である.
\(2\)-組を特に順序対(ordered pair)という.例えば,\(a\),\(b\) を二つの対象とするとき,\(a\),\(b\) の順序対(ordered pair)は \((a, b)\) で表される.
2.6 集合算
2.6.1 和集合(Union)
\(A\),\(B\) を二つの集合とするとき,
\[ A \cup B = \{x \mid x \in A \text{ または } x \in B\} \]
を\(A\)と\(B\)の和集合という.
2.6.2 共通部分(Intersection):
\(A\),\(B\) を二つの集合とするとき,
\[ A \cap B = \{x \mid x \in A \text{ かつ } x \in B\} \]
を \(A\) と \(B\) の共通部分という.
2.6.3 差集合(Difference)
\(A\),\(B\) を二つの集合とするとき,
\[ A \setminus B = \{x \mid x \in A \text{ かつ } x \notin B\} \]
を \(A\) と \(B\) の差集合という.\(A - B\) と書くこともある.
2.6.4 補集合(Complement)
\(\Omega\) を全体集合とするとき,集合 \(A\) の補集合は \(\Omega \setminus A\) である.\(A^c\) または \(\bar{A}\) と書くこともある.
2.6.5 直積(Cartesian product)
\(A\),\(B\) を二つの集合とするとき,\(A\) と \(B\) の直積は
\[ A \times B = \{(a, b) \mid a \in A, b \in B\} \]
である.
例 2.1 \(\{1, 2\} \times \{3, 4, 5\}\) を求めよ.
\[ \{1, 2\} \times \{3, 4, 5\} = \{(1, 3), (1, 4), (1, 5), (2, 3), (2, 4), (2, 5)\} \]
2.6.6 冪乗集合(Power set)
\(A\) を集合とするとき,\(A\) のすべての部分集合からなる集合を \(A\) の冪乗集合といい,記号 \(\mathcal{P}(A)\) や \(2^A\) で表す.
例 2.2 \(A = \{1, 2\}\) のとき,\(\mathcal{P}(A)\) を求めよ.
\[ \mathcal{P}(A) = 2^A = \{\emptyset, \{1\}, \{2\}, \{1, 2\}\} \]
2.7 演習問題
- タップル \((1, 2)\) は \((2, 1)\) は等しいであるか?その理由を説明しなさい.
- \(\{1, 2, 2\}\) は集合であるか?その理由を説明しなさい.
- \(\Omega = \{1, 2, 3\}\), \(A = \{1, 2\}\) の時,\(A\) の補集合 \(A^c\) を求めなさい.
- \(A = \{1, 2, 3\}\), \(B = \{2, 3, 4\}\) の時,\(A\) と \(B\) の差集合 \(A - B\) を求めなさい.
- \(A = \{1, 2, 3\}\) の時,\(A\) の冪乗集合 \(\mathcal{P}(A)\) を求めなさい.
- \(A = \{\text{春}, \text{夏}, \text{秋}, \text{冬}\}\), \(B = \{\text{花見}, \text{スキー}\}\) の時,\(A\) と \(B\) の直積 \(A \times B\) を求めなさい.