集合(Set)とは、「ものの集まり」のことである.集合は,普通A,B,Cなどの大文字のアルファベットで表される.集合を構成している一つ一つのものを要素または元(element)という.
元を一つも持たない集合を空集合(empty set)といい,記号∅で表す.
無限の元を持つ集合は無限集合,有限の元を持つ集合は有限集合と呼ばれる.
議論するすべての元があるひとつの集合に属する場合,その集合を全体集合(universal set)という.
帰属関係¶
対象xが集合Sの元であることを
と書き,「xがSに属する」,「x is an element of S」などと読む.xがSの元でないことを
と書く.
外延的記法¶
外延的記法(roster notation)では,集合のすべての要素を列挙する.例えば,10より小さい正の奇数全体の集合は{1,3,5,7,9},四季の集合は{春,夏,秋,冬}と表される.
集合が多くの要素を持つ場合は,省略記号(…)を使って表すことができる.例えば,1から100までの自然数全体の集合は{1,2,3,…,100},自然数全体の集合Nは{1,2,3,…}と表される.
内包的記法¶
内包的記法(set-builder notation)では,集合の要素が満たす条件を用いて集合を定義する.P(x)を条件とし,P(x)を満たすx全体の集合を{x∣P(x)}と表す.
例えば,[0,1]の区間に含まれる実数全体の集合は{x∣0≤x≤1},5以上10未満の整数全体の集合は{x∈Z∣5≤x<10}と表される.
特別な集合¶
- Z:整数全体の集合
- N:自然数全体の集合
- Q:有理数全体の集合
- R:実数全体の集合
- R+:正の実数全体の集合
集合の包含関係¶
- 部分集合(Subset):集合Aのすべての元が集合Bの元であるとき,A⊆Bと表す.AはBの部分集合であるという.
- 相等(Equality):集合AとBが同じ元から構成されているとき,A=Bと表す.すなわち,A⊆BかつB⊆Aが成り立つ.
- 真部分集合(Proper subset):A⊆BかつA=Bのとき,A⊂Bと表す.
順序組¶
順序組(Tuple,タプル)は,複数の対象を順序を持って並べたものである.n個の対象を並べた順序組をn-組(n-tuple)という.
(a1,a2,…,an),(b1,b2,…,bn)を二つのn-組とするとき,
(a1,a2,…,an)=(b1,b2,…,bn) であるためには,a1=b1,a2=b2,…,an=bnでないといけない.例えば,(1,2)=(2,1)である.
2-組を特に順序対(ordered pair)という.例えば,a,bを二つの対象とするとき,a,bの順序対(ordered pair)は(a,b)で表される.
集合算¶
和集合(Union)¶
A,Bを二つの集合とするとき,
A∪B={x∣x∈A または x∈B} をAとBの和集合という.
共通部分(Intersection):¶
A,Bを二つの集合とするとき,
A∩B={x∣x∈A かつ x∈B} をAとBの共通部分という.
差集合(Difference)¶
A,Bを二つの集合とするとき,
A∖B={x∣x∈A かつ x∈/B} をAとBの差集合という.A−Bと書くこともある.
補集合(Complement)¶
Ωを全体集合とするとき,集合Aの補集合はΩ∖Aである.AcまたはAˉと書くこともある.
直積(Cartesian product)¶
A,Bを二つの集合とするとき,AとBの直積は
A×B={(a,b)∣a∈A,b∈B} である.例えば,{1,2}×{3,4,5}={(1,3),(1,4),(1,5),(2,3),(2,4),(2,5)}である.
冪乗集合(Power set)¶
Aを集合とするとき,Aのすべての部分集合からなる集合をAの冪乗集合といい,記号P(A)や2Aで表す.例えば,A={1,2}のとき,P(A)=2A={∅,{1},{2},{1,2}}である.